カミナリ様の放課後は

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それによると、初めに見学者向けのワークショップを行い、その後、今度行われる予定のミュージカル公演の説明と、その練習風景の披露をするという。 ワークショップというのは、簡単なゲームやお芝居の体験を通して、演劇の魅力を知ってもらうイベントの事で、一般の劇団でも団員を集める為の方法として実施しているらしい。私も、ひと月前に参加したワークショップで演劇の楽しさを知り、入部する事に決めたのだ。 我が部にとっての当面の目標は、来月の末に行われるミュージカル公演の実施だ。『舞台に慣れるには実践あるのみ』との考えで、新入部員全員に出番が与えられている。演技の他に歌とダンスもあるミュージカルは、華やかで五感に訴えかける為、観客も親しみ易い。その反面、キャストにとっては習得しなければならない事が多く、先月から私はその洗礼を受け続けていた。 ここで部員を多数獲得する事が出来れば、演出の面でも大勢でのシーンが映えるし、公演に関わる準備の人手や資金の確保にも繋がる。部の活動にとって非常に重要な機会なので、気を引き締めて臨んだ方がいいだろう。一生懸命説明する部長の眼差しからもひしひしと緊張感が伝わってきて、私はゴクリと唾を飲み込んだ。 「では、そろそろ見学者を入れるから全員スタンドアップ! 奥に並んで!」 部長の指示で部員たちはスタジオの奥に移動し、1分後に福士さんの先導で見学者がスタジオに入ってきた。その数は10人前後で、もちろんレイネもその中に含まれていた。 「皆さん、見学に来てくれてありがとうございます。僕は部長で2年の中里昌磨です。まずは皆さんにはウチの部がどんな所なのか、知ってもらいたいと思います。ちなみに、この建物に初めて入ったって人は挙手! あ、割と初めての人いるね。どう? ちょっとお化け出そうでしょ? ここはね……」
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