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「こらこら、遠山君。説明中にナンパしてちゃだめじゃないか」
「してないでーす!」
部長のツッコミも入っていたたまれなくなった彼は、たまらず私達から離れていった。
「詩乃ちゃん、あのおバカさんが粉かけてたらすぐに言ってね」
「はは、ありがとうございます……」
彼の扱いに慣れている人がいて、本当に良かった。こういう面では、いい先輩に恵まれていると思う。
かくして、中断していたワークショップの説明が再開された。
「今から1グループ3~4人に分かれて簡単なお芝居をしてもらいます。短い台本を渡すので、これを読んで演じてみましょう。台本の内容はグループ毎に違うから、どんなお話かは読んでからのお楽しみ。台本見ながら演技していいし、どのグループにも部員が付いて一緒に演技するから、恥ずかしがらず思いっきりやってみてね」
部長の指示で無作為にグループ分けが行われ、配られた台本を基に、役決めと読み合わせが始まった。3分間の短い練習時間の後で順番に披露するとあって、どのグループも時間を無駄にしないよう早口で台本読みを行っていた。
レイネのいるグループには、遠山先輩がちゃっかり潜り込んでいた。少し心配だが、あれだけクギを刺されていれば下手にちょっかいを出す事は無いだろう。
グループ代表による順番決めじゃんけんの結果、レイネのいるグループが1番最初に演技を行う事になった。なりゆきで見学に連れてきただけではあるが、彼女がどんな演技をするかはちょっと興味がある。
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