若葉の頃の新入生

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前の席の明るい女の子はノリがいい返事をしてくれ、後ろの席の大人しい男の子はやけに挙動(キョド)った感じでペコペコとお辞儀を繰り返していて、右斜め後ろの物静かな女の子からは可も無く不可も無くな反応が返って来るなど、人それぞれだった。ともかく、一通り将棋の王将みたいな動きのあいさつを終えて、明らかな拒絶反応が無かったのは良かった。これで私も、少しは自分の事に集中出来そうだ。 やがて1限目の先生が教室に入って来て、否が応でも授業に集中しなくてはいけない状況になった。そうだ、少し変わった所があると言っても同級生には違いない、何をそんなに怖がる事があるだろうか。彼女の心配ばかりして授業に身が入らず、中間テストで赤点を取るなんて事になったら目も当てられない。 でも、やっぱり不安な気持ちは完全に拭い去る事が出来ず、常にのように私の周りに張り付いていた。時折隣の彼女を見ては、先生の説明を上の空で聞いてしまった。 何も知らない人が聞いたら、私は結構心配性なのだと思うかもしれないが、そうじゃない。 何故なら、本当の彼女はみんなとあまりにも大きく違う存在だからだ。それは、金髪だからでも青い目だからでもない。 だって、彼女は『カミナリ様』なのだから――。
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