放課後の分かれ道

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「止まってんじゃねえよ! 大事なとこなんだからさ!」 一瞬動きを止めてしまったのもお気に召さなかったのか、更なる怒りを買った。 その怒りはやがて全方向に向けられ、 「辰野、雑に踊んなって! おい、そこもだよ! 手の角度が低いんだよ! ああ、どいつもこいつも!!」 ついにはスタジオの隅に転がっていた竹刀を床に打ち付けて、怒りを大爆発させた。こうなるとみんなの動きも余計ぎこちなくなる一方で、普段は犯さないような所でのミスが多発して、それを先輩が怒鳴るとますますミスを誘発するという悪循環に陥った。 ようやく音楽が止まり、決めポーズを取ってダンスは終了したが、みんな息も絶え絶えで、表情はお通夜のように暗かった。 「はい、1年女子のみんな、ありがとう。それでは……、梶本さんから見学者に一言お願いします」 部長はスケジュール通りに進行しようと彼女に話を振ったのだろうけれど、彼女の口からどんな言葉が飛び出すのか恐ろしくて、出来ればそこは省略して欲しかった。 「はい、ダンス担当の梶本って言います。これがダンスパートだけど、こんなひどいクオリティで舞台には出さないから。やる気のないヤツは入ってもらわなくて結構だし、毎日しごいていくからよろしく。あ、この子達のヌルさを見て『私でも出来そうだ』って奴がいたら、潰しにかかる気で入ってくれていいよ。あたしもそのつもりで迎え撃つから、以上!」
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