放課後の分かれ道

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「あー、そこは天宮さんの言う通りかもねぇ」 米満先輩が手首に巻いた時計を見ながらつぶやいた。私の電波式腕時計でも予定より15分遅れになっているから間違いない。そのせいで次に行こうとしていた部の説明開始時刻に間に合わなかった人もいただろう。 「梶ちゃん、そこだけはちゃんと謝っておいた方がいいかも……」 「ぐうっ……!」 福士先輩からも説得されて、梶本先輩はうなるだけだった。 「そこは梶本さんにおまかせするけど……、どうかな?」 「……」 ここまで押され気味の梶本先輩は、入部以来初めて見た。部長の言葉に何も返せず押し黙った彼女は、こぶしを強く握りしめて下を向いてしまった。 ここから謝るにしろ開き直るにしろ、溜めていた感情が大爆発したら被害は計り知れない。 みんながその挙動を見守っていたが、先輩が動き出す様子は無く、時計を見てしびれをきらしたレイネが先に口を開いた。 「……悪いがこれで失礼させてもらう。他の部にも顔を出さなくては義理が立たぬからな」 「わかったよ。天宮さん、ありがとう」 どうしても他の部に行かなければならない彼女は、いつまでもここにいる訳には行かず、先輩に謝らせるのを諦めたようだ。先輩は相変わらず何も言わないので、部長が代わりに感謝の気持ちを伝えた。
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