夕暮れの帰り道

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夕暮れの帰り道

「あの子すげえな! カジが1年にやられてる所、初めて見たぞ」 「大河ドラマみたいなしゃべり方……、中二病か何かですかね?」 レイネが出て行ってすぐ、スタジオはすごい場面に出くわした驚きにざわめき立ち、先輩後輩関係なく感想を言い合った。 「何なんだ! あのしゃらくせえガキは!」 一方、敵に逃げられた梶本先輩は床を強く踏みつけ、やり場のない怒りを紛らわしていた。レイネに悪気は無かったのだろうけれど、先輩を怒らせるだけ怒らせて出ていくなんてあんまりだ。 「上等じゃねえか……。全員がわかるまでやってやるよ! ほらみんな、すぐ練習やるぞ!」 「……」 興奮状態の先輩はダンスの練習を始めようとしたが、その威圧感で身動きが取れなかったのか、急に練習が始まるとは思っていなかったのか、速やかに指示に従う事が出来無かった。 このままだと私達に怒りの矛先が向かってしまう! その空気を察した米満先輩が彼女に近づき、 「梶本さん、少し休んでからの方がいいんじゃなあい?」 「うるせえ! 今すぐアイツの望み通りにしてやるんだよ!」 優しくなだめようとしたが、彼女は竹刀を床に叩きつけて断固拒否した。 「おお(こわ)~」
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