夕暮れの帰り道

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「レイネ、大丈夫?」 ついたての奥にあるベッドを覗くと、レイネが上半身を起こしてこちらを見ていた。 「おお、済まないな」 彼女は、思っていたよりしっかりとした声で答えたが、左手はおでこに当て、何となく眠そうな目をしている。シャツのボタンは2つ目まで外しているし、リボンも枕の脇に置いてあり、すぐにはベッドから降りられなさそうだ。 「私とした事が何たる不覚。どうやら、活力を使い過ぎてしまったようだ」 先生がベランダの鉢植えの水やりで席を外している間に、レイネが演劇部を出た後の事を語ってくれた。 「洋館を出た後、美術部の塗り絵講座に参加したのだが、その頃から酷く疲れが出て来てな。美術室を出てからは、どこか落ち着いて休める場所を求め彷徨(さまよ)っていた」 「そうだったんだ……」 それほどきつくなさそうな美術部の体験講座で疲れを感じたとしたら、演劇部を出た時点でかなりエネルギーを消費していたのだろう。そんな中、右も左もわからない状態の校舎で迷わせてしまうなんて、やはり彼女に付いて行くべきだった。 「歩いている内に、いつの間にか体育館の前まで来ていた。すると、中ではチアリーディング部がダンスを披露しており、休憩がてら眺めていたら部員の衣装の隙間からヘソが見えた。緊急時故、()(さいわ)いと離れた場所から内密に活力を吸い取らせて貰った。お陰で少し元気になった」 「チアで元気をもらうって、そういう事じゃ無いと思うんだけど……」
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