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「おーい、何大声で笑ってるのー?」
その騒がしい様子に気づいた小野寺先生が戻ってきた。
さっきまで横になっていた子が急に元気になったらおかしい。ここは無理にでもごまかしておくしかない。
「え、演劇部のセリフ練習です! こう、『あはははっは!』」
「何そのアメリカのアニメの鳥みたいな役。保健室なんだから静かにしてくれないと」
「すいません……」
一応機転を利かせたつもりの演技は、先生にうるさがられただけだった。
「早川さん、ちょっとどいてね」
先生は私を横に移動させ、レイネの前に立って顔を覗き込んだ。
「うん、見違えるように顔色が良くなったね。お友達が来て安心したのかな。良かった良かった、これならもう大丈夫」
先生は特に疑う事無く、レイネの体調が戻ったと判断した。もしかしたら、最初からごまかす必要なんて無かったのかもしれない。
私は、先生のお墨付きをもらったレイネに身支度を整えさせ、一緒に保健室を出る事にした。
「大変お世話になりました。今後このような事が無い様、体調には充分注意を払いますので、どうかご容赦下さい」
「そこまでしなくていいんだよ。また気分が悪くなったらいつでもおいで」
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