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先生にお礼を言って出入口へと向かう。そこでレイネが立ち止まった。
「お、身長計があるな。どれどれ、測ってみるとするか」
出入口の脇にあった身長計を目にした彼女は、それを使いたいようだ。先生に聞くと、「どうぞどうぞ」と言ってくれたので、私が測る事にした。
「詩乃、そなたはいくつだ?」
レイネが支柱に背中を付けあごを引きながら、私の身長をたずねてきた。
「えーと、4月に測った時は166.9㎝……」
同世代の平均よりやや高めの身長は、今までそれほど気にしていなかったのだけれど、梶本先輩に「デカいから目立つ」と言われて以来、ちょっとしたコンプレックスになってしまった。こればかりはどうしようも出来無いが、ため息をつきたくなる。
測定バーを下ろして彼女の頭にくっつける。支柱の目盛りが示した数字は、
「169.2㎝だね」
「勝った。五尺五寸と八分……、ははは冗談だ。もっと伸びないかな」
「そうなんだ……」
彼女は私よりも高いという結果に、男子みたいな喜び方をして台から降りた。
「何だその縮こまった姿勢は、しゃんとしないか」
「痛い!」
そして、猫背気味になっていた私の背中を強く叩いた。
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