夕暮れの帰り道

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「おーおー、どっちが体調悪かったんだっけねえ。まあいいけど」 私達のやりとりを先生が呆れ気味に眺めていた。長居するのも迷惑なので、今度こそ彼女を連れて保健室を出よう。 「あなた達、家までどうやって帰るの?」 「えっと、自転車です」 「そう……。ゆっくり帰るんだよ、あまり速く漕いだらまたクラクラしちゃうかもしれないから」 「はい。先生、どうもありがとうございました、失礼しまーす」 外に出た私達は、駐輪場で隣同士に停めてあった自転車の前で、保健室での事を振り返った。 「もう、病人がいきなり元気になったらおかしいでしょ! 迎えに行かなくてよかったかも。心配して損した」 私から活力を吸い取ったからといって、あんなにすぐ元気になるだろうか。結構余裕があったのではないかと疑ってしまう。 「馬鹿を言え。そなたが来るのがもう少し遅ければ、危うく角が飛び出す所であったわ」 その疑惑に対して、彼女はきっぱりと否定した。ただ、人に助けられておいて偉そうな態度なのはどうかと思う。 「だとしたら、私に言う事があるんじゃない?」 恩着せがましく言う訳じゃ無いけれど、部活を抜け出してまで迎えに行ったのだから、彼女の口からお礼の言葉があってもいいと思う。
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