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いっそ帰宅部になるという手もあるが、これは下界の教育事情を肌で感じるという彼女の目的に反している。
だとしたら、最終手段はアレしかないが、リスクが大き過ぎるし、第一彼女がOKするかどうか……。
「よし、決めた。私も演劇部とやらに入るとしよう。中々に面白い所であったしな」
「ええ!?」
彼女は私が提案する前に、導き出した答えにたどり着いた。
「そなたの傍にいれば、不足の事態に於いてもすぐに活力を補う事が出来よう」
「それはそうなんだけど、さっき梶本先輩とバトルしてたしさ……」
「そのような些末な事象に拘る私では無い」
「そっちが気にしてなくても、先輩の方が良く思わないんじゃ……」
あれだけ激しく戦っておいて、すぐ水に流せる潔さと心臓の強さは尊敬するよ。
「詩乃、それで良いか?」
「別に、そっちさえ良ければ私は文句言わないよ」
入った後でまた揉め事が起きるかもしれないが、これなら彼女と行動を共に出来るし、現状は一番安全だと思う。
「そうか。いやはや、残念だ。美術部では色彩のセンスを高く評価され、古典研究部のかるた取りでも一番多くの札を取っていたのだがな。ままならぬこの身が恨めしいわ」
「嫌々入るんじゃないよ」
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