初日の彼女は

3/11

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
――キーン、コーン、カーン、コーン!―― 1限目が終わった。授業を受ける事以外で余計な力を使っていた為か、すごく肩が凝ってしまった。喉が渇いたので、気分転換も兼ねて廊下の自販機でジュースを買いに行こうと立ち上がったのだけれど、少し待って様子を見る事にした。クラスメイトの男女10人くらいが、レイネと話しに集まってきたからだ。 「あの、初めまして。私、井上未来(みらい)です。よろしくね」 「ああ、宜しく頼む」 「私、鈴木萌奈(もな)。ねえ、電話番号交換しよ?」 「構わないが」 「やった!」 うちのクラスは彼女を入れてちょうど40人だから、4分の1くらいだ。やや上から目線だが、握手を交わして番号交換と1人1人無難に応対する彼女を見て、何とかこなせるだろうと思い、改めて廊下に出ようとしたら、 「天宮さんって、早川さんとこに住んでるんでしょ?」 「ああ、詩乃の部屋に居候(いそうろう)させて貰っている」 「凄くね!? えっ、早川さん家って豪邸なの?」 「いや、豪邸ではないよ」 「早川ってお嬢様だったのか!」 「違うって!」 今度は私に話が回って来て、また足止めを食らった、しかもあらぬ誤解付きで。確かに私の部屋はレイネと2人で生活しても窮屈にはならないくらいの広さがあるが、他の部屋はそこまで大きくない。それこそ、シャンデリアがあって執事がいるような大金持ちの家とはかけ離れた、ごく普通の一軒家だ。
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加