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「即効性とは」
「ネット検索みたいな尋ね方をするな。言い換えれば、『もっと身近ですぐに役立つような情報』だ。例えばお前、当日のバス移動で立ち寄るサービスエリアには行った事あるな?」
「うん」
このサービスエリアは駅前から車で西に30分程行った所にあり、ちょうど目的地の海岸との中間地点だ。私は修学旅行や家族のお出かけの時に何度も立ち寄った事がある。
「そこはどんな所だ?」
「どんな所って、休憩するとこでしょ? 広いトイレがあって、外にはキレイなお花が咲いてて、中にはおみやげ屋さんがあって……」
「そうだ。そういうお前が知っているような情報の方が、外国暮らしの長かった彼女にとっては必要なんじゃないのか?」
「そういうものかなあ……」
私が知っている情報なんて大した事無いから、お兄ちゃんの言葉に対しては半信半疑な反応をしてしまったが、それくらいだったら私でも教える事が出来るかもしれない。
「あと、百歩譲って紙媒体で情報を得るとしても、それだけでは速報性に欠ける。テレビや新聞、そしてネットも併用するんだ。どんなに立派なハードカバーでも、明日の天気は載っていないからな」
「確かに……」
彼女の借りてきた町史が発行されたのは20年以上前で、紙も日焼けしてうっすら茶色くなっていたし、その間に大きく変わった事があるかもしれない。
「ありがとう、レイネに教えてみるよ。……でも、なんか意外だな。いつものお兄ちゃんじゃないみたい」
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