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一刻も早くやめさせないと倒れてしまいかねないので、私は後ろから彼女の肩を揺すった。
「レイネ、もうやめよう! とてもじゃないけど出発までに読み終わらないよ!」
「それは私とて分かっている……。たが、今更後に引ける物でも無いだろう。己の力不足を恥じるばかりだが、それでも時間の許す限り文献を頭に入れておきたいのだ……」
顔色はそれ程悪く無かったけれど、神様としてのプライドが傷ついたのか、いつものようにまっすぐ相手の目を見る事も無く、とても悲しそうな顔をしてうなだれていた。
「それも大事なんだけど、もっと大切な情報があるの! これ見て」
私はスマホを彼女の目の前に置き、インターネットのとあるページを見せた。
「これは……、サービスエリア?」
「そう、バス移動の途中休憩で立ち寄る所。バス乗ってると案外疲れるから、水分補給したり身体を伸ばしたりした方がいいよ。あと、美味しい物やおみやげも沢山売ってるよ」
私はスマホの画面をタップしたりスクロールしたりしながら、フードコートやおみやげ屋さんの情報を表示した。これが彼女にとって興味のある情報だといいのだけれど……。
「おお、これは確かに有益な情報だ。私は車が苦手故、ここで如何に休息を摂れるかが、浜歩き大会攻略の鍵となるであろう。差し詰め、ここは『砦』と言うべきか」
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