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良かった、上手く刺さったようだ。
彼女は人間界の乗り物が苦手らしく、特に自動車は少しの移動でも酔ってしまうという弱点がある。今回は万全な対策を取るが、それでも途中休憩は重要な問題だと思っていたので、彼女の関心も資料に書いてある知識から自然とそちらの方に移るのではないだろうか。
それならば、と私は続けた。
「そうそう! おなかが空いたら『うっかり八兵衛』みたいにお団子買って食べてもいいんだから」
「なるほど、サービスエリアとは宿場の機能を担っているのだな」
「あっ、言われてみればそうだね」
今度は話を盛りすぎる事も無く、いい塩梅でまとまりそうだ。
ただ、私が本当に言いたかったのは、こういう事じゃないような気がした。
「あとね、このページ見てよ。ここをこうすると、写真が」
「うん……? 写真が動いているのか?」
「そうなの、凄いでしょ」
このページにはストリートビュー機能がついていて、画像に表示されている矢印の辺りをタップするとその方向に移動する事が出来、別の場所の画像が見られるようになっていた。私は休憩施設のエントランスの画像を2・3回タップして、入り口に一番近いカフェへと移動してみせた。
「これは驚きだ……。詩乃、私にこれを貸してくれ!」
彼女は私からスマホを受け取り、鳥がくちばしで餌をついばむみたいに忙しく画面を指でタップし、画像が切り替わるのを確かめた。
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