初夏の浜辺には

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「これは面白い、部屋に居ながらにして現地の様子が見てとれようとは。しかし、広い場所なのだな、見慣れぬ店も多い。斯様に飛ぶようにして周る事が出来れば視察も捗るという物だが……」 ストリートビューは一度のタップで十数メートル先に進むので、カミナリ様お得意の空中移動にイメージが似ているのかもしれない。楽しそうに夢中でタップする姿は、なんだか微笑ましくも感じられた。 そうだ、私が伝えたかった事はこういう事だったんだ。 そして、もう一つ伝えたい事があった。 「ストップ! スマホ返して」 「おっと……!」 私は彼女からスマホを奪い取った。彼女はまだ施設の半分も見ておらず、名残惜しそうに私を見つめた。 「目が疲れちゃうから、ほどほどにしといた方がいいよ。どうしても見たければ、レイネのスマホからでも見られると思うけど」 彼女も自分用のスマホを持っているので、見ようと思えば今と同じページを閲覧する事は可能だ。でも、それじゃ何だかもったいない気がした。 「そうか、そなたの言う通りにしておこう。今ここで働き蜂の如く飛び回らずとも、我々は当日、地に足をつけて歩めるのだからな」 聞き分けが良くて安心した。上手くは言えないけれど、こういうのってネタバレ厳禁だと思ったから。
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