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「酔っちゃってるから! ヤバいかもしれない!」
前の方で誰か気分が悪くなってしまったらしく、みんな急いで窓を開けた。
一体どうしたのか、少しだけ座席から立ち上がり前の様子をうかがうと、
「うぅ……、マジで気持ち悪い……」
「先生、大丈夫ですか!?」
担任の赤沢先生が窓辺にもたれかかってぐったりとしており、真後ろの席にいた瀧本君に背中をさすってもらいながら介抱されていた。
「先生、もうすぐサービスエリアだから頑張って下さい!」
「出しちゃダメです! 静波魂で耐えましょう!」
「うう、みんな悪い……」
先生は今にも吐きそうな状態で、周りのみんなからの励ましにも力の無い返事しか出来なかった。
「ダセー。先生がバス酔いとか情けねーなあ」
みんなで心配していた所に、斜に構えた男子から薄情な言葉が飛び出した。
「ちょっと、ひどくない!?」
「いやいや、先生のは自業自得なんだって。昨日、駅前で小野寺先生と朝まで飲んでたらしいぜ。事実、乗る前から酒臭くて二日酔いっぽかったしよ」
「えー!? なんだぁ、心配して損したー!」
先生の不摂生が原因だとわかり、一部の生徒からはブーイングが起こった。けれども、大きな救急車と化したバスの中、全員が一刻も早くサービスエリアに到着して欲しいと心を一つにしたのは確かだと思う。
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