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ここのサービスエリアは施設全体が広大で真新しく、トイレも広くて清潔な空間に整備されている。他のクラスのバスと到着が重ならなかった事もあり、行列待ちをする事無くスムーズに利用して出てくる事が出来た。
外に出ると、雲がまばらに散ったライトブルーの空から太陽光線がさんさんと降り注ぎ、帽子が飛ばされない程度のちょうどいい風が吹いていた。
「あー、いい天気。風が気持ちいいね」
「うむ、芝生の青さが眩しいくらいだ」
今日の陽射しによる芝生の照り返しは強烈で、私は目の前に手でブラインドを作りながら覗いた。屋外には広い芝生があり、晴れた日の休憩やドッグランのスペースとしても利用可能で、開放感にあふれていた。
本来なら、バスを降りた1歩目に言っててもおかしくは無い感想だったけれど、先生の緊急事態のせいで言うのを忘れていたのかもしれない。
「ああ、外の空気は気持ちがいいな……」
噂をすれば、先生だ。ゾンビのような顔色の悪さで、私と同じような感想をつぶやいた。
「先生、大丈夫ですか?」
「ああ、個室の方入って吐いたらだいぶスッキリした。もう大丈夫」
なんとか惨劇は回避出来たみたいだ。でも、バスが停まった場所がもう少しトイレから遠かったら、どうなっていただろうか。
「これから浜歩き出来るんですか? 無理しない方が……」
「ああ、中の売店でスポーツドリンクとか栄養ドリンクでも買うわ。お前達も水分補給しっかりな」
先生はのろのろとした足取りで屋内のおみやげ屋さんに向かっていった。
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