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捕食者のグロテスクな触手が母の身体に巻き付くとそのまま大きな口を開けて捕食しようとした。母は覚悟を決めた顔で
「リョウ、私を食べていいよ。私も数ヶ月後には捕食者になってしまうのだから」
そして、母は捕食者の大きな口から生える鋭い牙によって上半身を噛み砕かれてしまった。
「う、うぇーん! 」
「サキ、来るんだ! 」
泣きわめく私は仲間達に抱えられながらも覚えたての言葉で必死に
「ママ~ パパ~ 」
母の身体から噴きだした鮮血が父の身体を赤く染めると
「グオオオオオ! 」
大きな唸り声とともに両親は灰と化して消えていった。
「ママ! 」
ベッドから勢いよく飛び起きた私は悪夢に魘されていたせいで全身がシャワーを浴びたように汗まみれだった。私は額に手を当てて湿った前髪をかき上げながら
「う、うう…‥ またあの悪夢にうなされるなんて‥‥ 」
時計の針は深夜2時半を指しており、薄暗い部屋をおぼつかない足取りで冷蔵庫の中から1リットルのミネラルウォーターを取り出して一気に飲み干すと、汗をタオルで拭き取ってから再び就寝した
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