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「まあ、そりゃ〜相手には困ってないけどな」
笑いながら長門さんは答える。
私はその様子にちょっとイラっとしてしまう。
「そうですか。では私は帰りますので、どなたかお呼びいただいていいですよ?」
飲み干したグラスを机に置くと、私は立ち上がる。
笑ったまま長門さんは私を見上げて言う。
「ほんとお前、可愛げないな」
これが漫画だったら、私の頭にはくっきり怒りマークが入っているところだ。
「えぇ。可愛げなくて結構です。どうせ私はそう言って結婚を考えていた人に30の時振られたんで。今ではすっかりそれも板につきましたから」
淡々と、そして作り笑顔で私がそう言うと、長門さんは目を丸くしていた。
「面白いな、お前」
そりゃ、あなたにとっちゃこんな女は珍しいでしょうとも!
心の中には嵐が吹き荒れているが、それを見せずにより笑顔を作る。
「はいはい。では失礼します」
そう言って長門さんの前を通り過ぎようとした瞬間、腕を掴まれ強く引かれる。
「ちょっとっ!」
驚いて声を荒げるが、反対に背後から囁くように声が聞こえた。
「やっぱり帰さない」
私は後ろからすっぽりと抱えられたまま、簡単に側のベッドに引き摺り込まれた。
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