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両手首を掴まれ、所謂組み敷かれた状態でベッドの上に倒れこむ。
身長差25センチ。流石にびくともしない。私は睨みつけるように長門さんに視線を送る。
「そう怖い顔すんなって」
そう言って口角を上げたまま、顔を近づけてくる。
キスされる⁈と思わず私が顔を背けたのを、気にする様子もなくそのまま耳に唇を寄せた。
「ストレス発散するんだろ?」
唇が耳に触れられたまま囁かれ、背筋にゾクっと電流が走る。
「だから…知ってる人とは…しません…」
顔を背けたままそう答えるあいだ、長門さんは私の耳を唇で撫でる。
「んっ…」
「何?感じてんの?」
「これは…その…」
否定しようとしているのに、耳をなぞる様に舌が這い反応してしまう。
「んっっ…ちょ…っと待って」
その行為から逃れようと、つい上を向いた私の唇に、今度は舌が這う。
「俺達は今日始めてバーで知り合った他人同士。って設定はどう?」
唇が触れるか触れないかのギリギリのところで、長門さんはそう言う。
熱い吐息だけが私に流れ込み、焦らされた体にその熱が移されるような気分になる。
「設定って!」
そう言い返すだけでお互い唇が軽く触れ、より焦らされている感覚だ。
分かっている。主導権を握られてしまっている事は。
すっかり男を求めて熱くなっている体に、理性などほとんど残ってはいない。
「瑤子。ほら、俺の名前は?」
囁かれながら唇を舌が這う。
「んっ…っ」
されるがまま、自分の体を電流が流れるのが止められない。
「ほら、呼べよ。瑤子…」
そう言われ、最後の理性も吹き飛ぶ。
「…つ…かさ…」
吐息と共にその名を呼ぶと、すぐさま深く唇が重ねられた。
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