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「お疲れ様です。長門さん。社長なら今外出中ですが」
「ならちょうどいい。社長室借りる。ちょっと来い」
有無を言わさず私の腕を掴むと、社長室へ向かった。
「困ります!」
社長室に乱暴に放り込まれると、長門さんは扉をしめた。
「なあ。あんた、俺の専属にならね?」
160センチの私を真下に見下ろすように、長門さんは私に言う。
「なる気はありませんが」
「報酬ははずむ」
「そう言う事ではありません。私はスケ管専門で、定時にも帰れず外出も多い専属になる気はないと言う事です」
「はぁ?そんな理由?俺が頼んでるのに専属になる気ないって?」
眉間にシワを寄せ、不機嫌そうににじり寄る。
「だいたい、そう言う事は社長を通して下さい。と言ってもお受けしませんが。では定時ですので失礼します」
私は勢いよくドアを閉めて社長室から出て行った。
ズカズカとデスクに戻ると、私はあと少しだった仕事を秒で終わらせて、片付けもそこそこに更衣室へ向かう。
なんなのあの人!世界は自分中心に回ってるとでも思ってんの?冗談じゃない。
イライラも絶頂に達したまま、スーツの上着を脱ぎロッカーに掛ける。
今日は金曜日。もちろん明日は休み。こんな時はあれに限る。
ロッカーに常備してある着替えを掴み、高めのヒールに履き替えると更衣室を後にした。
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