飛ぶ頭部

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「お前、今年はおみくじ引いたか?凶だろう」  俺は今年は初もうでに行ってない。ブル、ブルとかぶりを振った。凶なのは最近に限ったことじゃなくて中学にあがった時くらいからツキが無い。林間学校では皆に置いていかれて逸れたし、修学旅行ではバスに酔った挙句、一番前の席にされたし、高校だって行きたかった場所じゃない。空飛ぶ顔は笑いながらお前のことを守ってやると言った。ちょっと待てよ、マジそれはヤバいって。あっ、そうだ。悪いことだけじゃなくて今日はいいこともあった。由奈ちゃんと話が出来た。  よく考えると色々と忙しかった。正月休みもあと僅かだ。今から初もうでに行って厄除けでもしてくるか。あんなものに1年も2年も付きまとわれたら溜まったもんじゃない。学校に来られたらイジメられる原因になってしまう。俺はそう決めると買って来たスマホで何処に初もうでに行くか検索した。厄除けで近くのいい場所はないかな。そうだ。どうせなら由奈ちゃんも誘ってみるか。今日どさくさに紛れて連絡先を聞いている。  もう外は暗い。今日も顔が外で光っていたらどうしよう。チカチカ、チカチカ、歌舞伎町じゃないんだから、ふざけるのもいい加減にしてほしい。何で俺以外の人が気付かないのだろうか。いや、気が付いていて言わないでいるのか。
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