飛ぶ頭部

8/12

34人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 テレビでニュースを観ていると9時になった。遅い朝食を食べる。納豆に海苔の佃煮、酢の物、老人みたいな食事だが、朝からこってりしたものは食べられない。学校の友達はトーストにピーナッツバターを塗ったり、スクランブルエッグを食べたりするみたいだが、俺が食べると間違いなく胸やけをおこすだろう。中学の時の修学旅行では胃がもたれたあげくバスに車酔いをして最悪だった。  スマホのショップは調べたら11時から開店すると出ていた。俺はテレビのチャンネルを変えた。超常現象スペシャルをやっていた。司会者が不思議そうに光る顔というバケモノがいると説明している。テレビの画面を見ると光る顔にそっくりなものがプカプカ浮かんで凄い速さで空中を飛んでいた。あれは確実に俺が見たもんだ。誰が撮影したんだろう。殺されずに、こうして投稿出来ているってことは、やはり脅しだったか。  だがしかし、俺がテレビ局に送って有名人になるという計画は消えてしまった。司会者は、調べた結果、これはフライングフェイスという人間の頭部の幽体ですと言っている。何でも生きている人間の意識の塊らしい。愛する相手への気持ちで出来る水蒸気で出来た雲の塊みたいなものだという。はあ!?俺はあんな顔の奴は知らないぞ。いや、待てよ、そういえば通学の時に電車で会う、おっさんに似ていなくもないな。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加