ラクシュトリア王国会議

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ラクシュトリア王国会議

 ルドラルが部屋の中に入ってから十分ほどの時が経った。  部屋の扉が開かれる。  ルドラルは横幅が一メートルある箱を二つ、それから縦の大きさが一メートル、横の長さが一メートルの正方形の箱を両手に持っていた。  ルドラルは箱を俺たちの前に下ろす。  下ろされた箱にアリヤ王女は近付いて、箱の開封を始める。  一つ目の箱の開封すると、中からもう一つ箱が出てくる。  かなり厳重に保管されているようだ。  その箱も開封すると、布に包まれたものが出てきた。  刀のような形をしている気がする。 「湊様にはまずこれを差し上げます。ご覧になってください」 「ありがとうございます」  俺は布に包まれているものを受け取る。ずっしりとした重みを感じる。  俺は布の真ん中にある紐を解き、布を取っていく。  布の中から出てきたのは、全長は九十五センチほどで、柄は白色で太陽の形をした物が紐で吊るしてある。  鞘も白色で太陽の紋章が刻まれている刀だった。  鞘から刀を抜いてみると柄の先に伸びる刃は銀色で、黄色がかった白色に輝いている。 「おぉ! ……凄い」  俺はあまりに美しい輝きだったので、見惚れてしまった。 「その刀の名前は陽炎刀(かぎろいとう)と言います」 「陽炎刀か……大事にします……」  俺は腰に陽炎刀を取り付ける。   「光瑠様にはこれを差し上げます」 「ありがとうございます」  光瑠も俺と同じように真ん中にある紐を解いて、布を取って行く。  光瑠も刀だったようだ。  全長は俺の刀と同じくらいの大きさで、柄の色が俺と真逆の黒色で、月の形をしたものが紐で吊るしてある。  鞘も黒色で月の紋章が刻まれていた。  光瑠も鞘から刀を抜く。  柄の先に伸びる刃は銀色で、青白く輝いている。 「……綺麗だ……」  光瑠も刀の輝きに見惚れてしまって口を半開きにして、しばらくそのままの状態を維持していた。  二本の刀から放たれるオーラはこの世のものとは思えないほど強大で神々しかった。 「その刀の名前は暁月刀(ぎょうげつとう)と言います」 「暁月刀か……気に入った……」  光瑠は暁月刀を俺とは逆の腰に取り付ける。  陽炎刀が太陽の力を源にするのに対して、暁月刀は月の力を源にしていると思われる。   「レティア様には武器はありませんので、代わりにブレスレットを差し上げます」 「ありがとうございます」  レティアの右手のブレスレットには赤色の宝玉、緑色の宝玉が埋め込まれており、左手のブレスレットには青色の宝玉、茶色の宝玉が埋め込まれていた。  色にはどんな意味があるかはまだよく分からないのだが……  俺と光瑠は刀以外にも先端が太陽の首飾りと先端が月の首飾りを貰った。 「では会議室に案内したいと思います」  一通り渡すものが終わったみたいなので、会議室へと向かうことになった。  アリヤ王女の命を狙って、ルドラルに返り討ちにされた気絶していた男たちは牢獄の監視兵に預けた。  俺たちは王宮の会議室に向かって歩いていく。  地下の空間の扉が吹き飛んでいたことがすごく気になったが、放っておく。  地下空間は王宮の敷地内にはあるが、王様が住む場所からは離れているので、会議室まで三十分もかかった。   「ここが会議室です」  アリヤ王女は扉をノックして、中に入っていく。  俺たちはアリヤ王女に中に入るように促されたので、入っていく。  中に入ってみると真ん中に穴が開いている楕円形のテーブルがあった。  テーブルのサイドにはこの王国の重鎮だと思われる二十人くらいの貴族が一人の男性を中心にして座っていた。  中心に座っている一人だけオーラの違う男性はおそらくこの王国の国王だと思われる。  俺はこの雰囲気に呑まれそうになった。膝が震えて体がすくむような堅苦しい気詰まりを感じていた。  レティアと光瑠は全く動じていないようだ。  一般家庭で育った俺にとっては無縁すぎて全く慣れないのだ。   「よくぞ来てくれた! 名前を申すが良い!」 「私はレティア=ローゼンハイツと申します」 「私は天沢光瑠と申します」 「私は市ヶ谷湊と申します」  俺はレティアと光瑠の対応の仕方を必死に真似をする。  キツい……  慣れない動作なので、体力をかなり消耗する。 「表をあげよ!」  俺たちは王様の指示通りにする。 「空いている席に腰をかけよ!」  俺たちは挨拶をして、席に着席する。 「全員揃ったな! 今からラクシュトリア王国会議を始める!」  王様の指示で会議が始まった。  最初は俺たちが召喚された理由から話してくれているようだ。  王様の隣に座っていた貴族の男性が話し出した。名前はガレノスと言うらしい。   「今、ラクシュトリア王国は危機的状態です」  アリヤ王女もそんなことを言っていた気がする。 「この世界を裏から操っていると言われている破壊の魔神、創造の魔神、死の魔神、生の魔神の四体が存在しています」  ネットで調べていたことがあるのだが、魔神は魔王よりも上の存在だったはずだ。  世界を裏から操っている存在だとは知らなかった。   「ラクシュトリア王国は四体の魔神の標的になってしまいました。そのため古の日月厄災ならときに封印された力を操れるあなた方の力を借りたいのです」  俺たちは魔神を倒すためにこの世界に召喚されたらしい。  アニメでは魔王を倒すために勇者として召喚されるのはよくあるのだが、魔神を倒すために召喚されるなんて聞いた事がない。 「この依頼を受けてくれますか?」 「私からも頼む!」  王様や二十人の重鎮達に一斉な頭を下げられたので、断ることはできなかった。  ラクシュトリア王国会議で俺たちは魔神を倒す依頼を正式に受けた。  その後も会議は続いたが、王国の政治のことなので、俺たちは置いてきぼりにされた。  いつまでここに座っていれば良いのか分からない……  会議がひと段落着いて、今度は俺たちの力の話へと入っていく。  先ほど俺たちに依頼をした人とは別で修道院のような服装をしている女性の《ヴリナ》が言葉を発する。 「あなた方の力はまだ完全ではありませんね」  言われてみるとそうで、まだ武器しか貰っていなく、どんな能力を使えるかは全く分かっていない状態だった。  古の日月厄災の時に封じられた力とはどんな能力かも気になっている。 「これからあなた方を神殿へ案内します。そこで全ての力を手に入れてください。あなた方ならできると信じております」  ヴリナは両手を体の前で合わせる。  俺たちは会議が終了した後に、ヴリナの案内で神殿へと向かった。  アリヤ王女も一緒についてくるみたいだ。    
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