1

3/18
前へ
/392ページ
次へ
 二時間目と三時間目の間の10分の休憩はトイレと自販機が大人気。二年生の教室の近くにも同じような自販機スペースがあって、二年生だけが不便な事はないよと誰かが言ってたけど、この三階の自販機スペースはどうしたって三年生が優位で、三年生が終わった後に一年生が使うという状況だ。  別に三年生が威張り散らしているわけじゃないんだけど、体格差のある一年と三年じゃどうしたって押し負けてしまう。  それでも、場所が変わらないのは三年生が譲ってくれるからだ。一年の僕達はまだ中学生の延長で成長期真っ只中なので三年生から見れば子供なのだ。  だってほら。今だって三年生が譲ってくれたのに、小さい一年生が譲られた事に腹を立てている。素直にありがとうと言えばいいのに。  なんてよそ見をしていたら人とぶつかってしまった。  ドンと当たって、後ろに倒れそうになる。 「おわっ危ねぇな。前見て歩けよ」  倒れそうになった僕を支えてくれた人がいて、尻もちも後頭部をぶつけることも無く無事によろけた体を立て直して、ありがとうございますと振り返ると、爽やかイケメンがいて大丈夫かいなんて優しく微笑んであっという間に恋に落ちる、なんて小説じゃあるまいし。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加