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「グルルルルルッ!」
俺が奴に視線を向けた途端、敵視を放たれる。
「…った!、助けてくれるの!?、ありがとう!」
少女が涙目で見ながら俺にそう言った。
なにその良い感じな声とセリフ。超俺好みだ。やっぱ中の人って大事だよな。
少女は全身傷だらけだが、傷さえ取り除けば上玉なのは間違いない。
髪型は金髪サイドポニーテール。
そして赤目で若干ロリっ娘。
胸はまな板だ。
装備は軽装で、武器は短剣を使っているみたいだな。
この子を助けたら仲間になってくれるのだろうか。
うん、きっとそうに違いない。この出会いのパターンは絶対にそうだ。
それにこの少女のCVで確信した。
少なくともモブキャラではない。
だって中の人があれだからな。
アニヲタなら誰でも知っているくらいの超有名人。
さすが神、声優の設定にも抜け目なし。
ありがとう。
「どういたしまして」
あ、まだ神と意思疎通できるのね。
そして俺はロングソードを鞘から引き抜くと野犬に向けて駆け寄り、剣でぶった切ろうとする。
だが剣を振った瞬間、野犬は良い感じのタイミングで、良い感じな動作でジャンプし、良い感じに回避すると、良い感じに着地して、良い感じに回避行動が決まったとばかりに俺に良い感じのドヤ顔を向けた。
いや…実際全てが良い感じに決まったのは本当の事だが………だがなんとなく良い感じにムカつく。
そこで俺は初めて神に設定して貰った良い感じな異世界ライフの本当の意味を知る事になった。
『悪いね!』x10
「え?……」
いきなり俺の視界の右上に文字が浮かび上がる。ちょうどその位置はゲームだとUIやパラメーター、メッセージが表示されそうな、良い感じの位置だ。
俺なんか悪い事したの?
攻撃ミスったからかな?
それだけでこの判定はおかしくないか?。
それとも少女にダサい格好を見せてしまったために悪いねが送られたのか?。
いや、それにしても悪いねx10は多すぎじゃないか?………。
こっちは命をかけて助けてやっているというのに………。
「あー少年?。やっぱり少年は物分かり、理解力が『いいね!』x10」
疑問で頭が埋まりかけた時に神の声が再び聞こえて来る。
『いいね』取り戻せたのはいいけど、ここはしっかり何が起きたのか神に聞きたいものだ。だが俺が何か言おうと口を開きかけた時、神はそれを予想していたかのように俺に説明し始める。
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