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「そうでしょう。最終目的はやっぱり城？」
楕円の窓から見えるチャチなキャッスル。ホテル街のネオンは極彩色で作り物みたい。高層ビルの谷間に欠けた月が落っこちそう。イルミネーションの観覧車のミュージアム。不可思議なMonna Lisaの微笑みたいな夜。ガリレオ・ガリレイの誕生日を想っている。
〈口紅つけときゃ、大丈夫よ、化粧なんか〉
「やだなぁ、そばかす。増えちゃった……」
チアノーゼを起こした蒼い唇にルージュ。金髪の盛り髪をコーラルの玉簪でまとめ髪。衣文を抜いた浴衣の背中の眩しさにドキッ。洗い髪の後れ毛からフェロモンが匂い立つ。白い頸に噛みつきたいのは蚊だけではない。筋肉自慢の驕りやアダルト屈指のお喋りは、スケートボードの車輪の音に飲み込まれた。
箱型ブランコに隠れんぼするバカップル。世捨て人たちはジャングルジムで天体観測。原色の傘の下でリコーダーを奏でる小学生。芝生に転がるサッカーボールとランドセル。猛暑のせいで秋に延期した工事現場は静か。仲良く並んだヘルメットの上を愛蛇が這う。ストリートで遊ぶ少年少女は夜も眠らない。
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