Seven♤Gigolo ※

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「俺の親父も放蕩して⋯⋯冬の早朝に⋯⋯」  指を絡め、繋いだ手の指輪の跡を見つけ、過ぎてしまう日々が(いたづ)らになり、振り返り、堪らなく、突き刺さる胸の痛みに目を塞ぎ、遠い過去の自分と、こんなにも向き合って、途切れ途切れでも心を(あら)わに、話す間にも。弾かれたように、傷を打ち明ける一時(いっとき)にも。 「酔っ払って……死んだよ。呆気なかった。置き去りにされた俺や……嗚呼(ああ)……お袋は」  抱きしめ合った。できるだけ、ぎゅっと。 「独りではだめになったよ」「話して……」 「熱湯をかけられた……火傷を隠すために」 「刺青(いれずみ)を……?」「うん、でも傷痕にはさ」  頬に口付ける彼女の唇の色は失せていた。長い睫毛から、とろりと涙が落ち、(ひそ)やか。愛を誓い、何度、約束しても、別れは来る。身体を繋げてもきっと、心は(ちゅう)ぶらりんだ。 「……色を刺せないんだって、だから……」  ()けそうに関節の白く浮き上がる指先が、左胸にある浅い瘢痕(はんこん)をゆっくりとなぞった。 「デザインを考えて貰った」「きれい……」  花が燃えているみたいだと彼女は言った。赤い花びらを青褪めたまま、(さす)り、涙した。愛の頬を抱き、そこにある赤い花を撫でた。ありもしない痛みに、心はまだ――震える。 「左耳に刺青を入れたのはね……」「うん」 「好きな人から赤い花を貰うのが夢だから」 「貰ったの」「ううん、誰もくれない……」
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