Prologue♤Gigolo

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 交錯するスペクトルは、三原色のシアン。真っ青から真っ白に飛ぶように消えいった。ギザギザのシェブロンが波打って頭痛がし、眼窩がチカチカ。吐き気がするほど美しい。  激しい夏の雨に打たれているかのような、目も開けていられない閃光(せんこう)(うず)に飲まれた。幽体離脱した俺の意識は、散り散りになる。スターダストが舞う中で美女が踊っていた。  その指先から爪先まで(たお)やかでシャープなバレリーナみたいに華麗なラインを連ねて、髪の先まで流線美を描く姿を信じられるか。この世のものではないような絶世の踊子(おどりこ)だ。  硝子(ガラス)を砕いたかのように発光して見えた。光を浴びる彼女が俺には(まぶ)し過ぎて。(とりこ)だ。  スレンダーな女を串刺しにするかのよう。女の身体をバラバラにする光のマジシャン。どんなトリックかって知りたくなって来る。跪いてピンヒールの爪先にも口づけてでも。迷宮入りでも心の謎を突き止めたくなった。  どうして、彼女に恋をしたかって――?  きっと真っ暗闇でマジックに()せられた、無邪気な少年みたいに胸に火がついたんだ。
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