妖狐

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その日、慎太郎は二千円課金した。 今月だけで、二万円課金したことになる。先月は、五万円。 白無垢の妖狐のカードが欲しくて、欲しくてたまらなかった。 こんなに課金してしまって、まずいな、と自分でも思っている。 あやジャスを始めてもうすぐ一年。 どのくらい課金したのか、もう分からない。 ちょっと感覚がおかしくなっているのかもしれない。 だけど、どうしようもない。 慎太郎自身にも、もうどうにもできないのだ。 「妖狐来い、妖狐。妖狐のレアカード……」 慎太郎は、祈るように目を閉じた。 チャラリララー、と音楽が鳴って、スマホ画面が金色に光り出す。 「おお、おぬしに会いたかったぞ……」 妖狐だ。妖狐を引き当てた。 白無垢姿で、ほほえみを浮かべている。 「やった、やっと白無垢妖狐が来た!」 慎太郎はガッツポーズした。
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