10人が本棚に入れています
本棚に追加
その日、慎太郎は二千円課金した。
今月だけで、二万円課金したことになる。先月は、五万円。
白無垢の妖狐のカードが欲しくて、欲しくてたまらなかった。
こんなに課金してしまって、まずいな、と自分でも思っている。
あやジャスを始めてもうすぐ一年。
どのくらい課金したのか、もう分からない。
ちょっと感覚がおかしくなっているのかもしれない。
だけど、どうしようもない。
慎太郎自身にも、もうどうにもできないのだ。
「妖狐来い、妖狐。妖狐のレアカード……」
慎太郎は、祈るように目を閉じた。
チャラリララー、と音楽が鳴って、スマホ画面が金色に光り出す。
「おお、おぬしに会いたかったぞ……」
妖狐だ。妖狐を引き当てた。
白無垢姿で、ほほえみを浮かべている。
「やった、やっと白無垢妖狐が来た!」
慎太郎はガッツポーズした。
最初のコメントを投稿しよう!