Eri

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私は青山エリ。先日、17歳の誕生日を迎えた高校2年生だ。どこから何を説明すればいいのか分からないけど、とりあえず私は今、異世界らしきところにいる。  確かに普段通り自室のベッドで就寝したはずなのに、目が覚めたら暗くて静かな森の中にいた。そこでパニックになって歩き回っていたら、私のことを動物と間違えたカイトに殺されそうになった。それが2日前。  私は今、カイトの屋敷に泊めてもらっている。  カイトはどうやらお坊ちゃまらしく、大きな屋敷に使用人と共に住んでいる。私がいた森も、カイトの家の敷地らしく、あの日、彼は狩りに出ていたところだった。  彼に屋敷に連れていかれて、散々自分の状況や帰りたいことを伝えたのに、一向に話が噛み合わない。日本という国も知らないし、電車や飛行機もないというのだ。馬車とか言われた時には笑っちゃったよね。  何より、私はただ寝ていただけで、どこに も出かけた記憶はない。これはもう、タイムスリップしたとしか思えなかった。 「カイト!ねぇ、街に連れていってよ!」  私は、カイトのお気に入りのガーデンルームで、椅子に座って書類を読んでいる彼に話しかける。 「ダメだ、今日は忙しい」    カイトは私の方も見ずにそう言った。組んだ長い足がムカつく。 「えー!何で今日に限って忙しいのよ。昨日は一日ぐーたらしてたじゃない」 「人聞きの悪いこと言うな。俺はいつも忙しい。今日は領民が嘆願に来るんだよ」 「じゃあ、ロッシュさんを貸してよ。私一人じゃ道も分からないんだし」  ロッシュさんはカイトの家の使用人だ。優しいお父さんといった雰囲気で、多分40歳くらい。カイトがそっけない分、私はここに来てからロッシュさんに甘えっぱなしだ。   「ロッシュも仕事があるんだ。あんまり君の都合で煩わせるなよ」 「はーい」  そこは確かに、おっしゃる通りで。私はおとなしく返事をしてガーデンルームを後にした。  カイトは、決して冷たいわけではないけど、そんなに優しくもない。まぁ、やっかいなものを拾ったと思ってるんだろうけど、家に帰れなくてかわいそうな女子には、甘やかすくらいでもいいと思うんだけどな。  そんなことをぶつくさ思いながら、ロッシュさんと共に街に出た私。でも、結局そこでもなんの手がかりも得られなかった。ロッシュさんに申し訳ないと思った。          
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