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この国には生まれながらにして孤独に過ごし王になるために必要なことのすべてを教え込まれてきた王様がいました。
その王様は、いついかなる時も感情を表には出しませんでした。
そうですね、例えば二日前に来たメイドが王様の前でティーカップを割ってしまった時は何もなかったかのように読書を続け、メイドにも床に落ち砕け散ったティーカップにさえ目もくれませんでした。そしてそのカップとメイドは廊下にいたほかのメイドが気づきようやくことが露わになったのです。王様は、出て行けと命令するわけでもなく、だからと言って怒鳴り散らしたりもしませんでした。
只々彼は、表情がいつも無表情だったのです。そのためか多くの使用人たちが彼の存在を恐れていました。
この国の国民の間にはあるお方の噂話がありました。
つづく
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