僕はバケモノ

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何故か僕はみんなから「バケモノ」と呼ばれた 僕はバケモノ。 いつからかは分からないけどそう呼ばれてきた。 僕がバケモノだと気づいたのは6歳の時。公園に行くとみんな楽しそうに鬼ごっこをしていたから僕も仲間に入れてもらおうと声をかけたんだ。 「僕も入れて!!」 「うわっ!バケモノだ!バケモノが来たぞー!みんな逃げろ!」 そう言ってみんなバラバラになっちゃった。その時は意味がわからなかった。 僕がバケモノ?僕はバケモノじゃない、みんなと同じなのに。 小学校に上がると何故かいじめられるようになった。教室に入る前は凄く騒がしかったのに、入った途端みんな黙って僕を見る。僕はあの目は嫌いだ。まるで何か異形のものを見ているみたいな目で嫌だ。 僕が席に着くとスイッチを押したみたいに僕の周りでヒソヒソ話を始める。 バケモノが来た   本当だね なんで学校来るんだよ  気持ち悪い 僕はバケモノじゃない、みんなと同じなんだ。 いじめられたけど僕は勉強は嫌いじゃなかった。 だから一生懸命先生の話を聞いて、一生懸命繰り返し復習して。 そのおかげで僕は中高両方ともに名門に行くことができた。 そこでは僕のことをバケモノと言う人はいなかった。 やっぱり僕はバケモノじゃない、みんなと同じなんだ。 高校を卒業したあと外国の大学に入学した。 大学にはいろいろな言語で喋る人がいたけど僕はその人達と同じ言語で喋った もちろん完璧じゃないけど、みんなには伝わっているみたいだったから僕は積極的にいろいろな言語で話しかけた。中にはそんな僕に「お前バケモノみたいだな」と言われた。 僕はバケモノじゃない、みんなと同じ人間だ。 大学を卒業し、自分の国に戻った僕は起業した。事業は大成功を収め、今ではいろんな国に会社を置けるほど大きくなった。そんな会社の社長になった僕だけど、今でも僕のことをバケモノと言う人はいる。と言っても別に悪い意味で言ってるんじゃないと気づいたのは最近だけど。 小さい時どうしてバケモノって言われたのかよく分からなかったが今考えると僕の見た目が悪かったんだと思う。黒い目に黒髪のみんなと違って僕は赤い目に白い髪をしていた。そう、僕は俗に言うアルビノだったんだ。 もし僕がみんなと同じ姿で他の誰かがアルビノだったら、きっと僕もバケモノ扱いしていたと思う。だから僕は別にみんなのことは恨んでいないよ。 だって僕はバケモノだからね。 僕はバケモノ、でも君たちと同じ人間だ
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