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瞼を閉じているはずの目から何か明るいものを感じた。
ゆっくりと目を開けるとそこはあたり一面真っ白な場所だった。
雪が降ったあとというよりは殺風景な部屋と言ったほうがいいだろう、そんな場所に自分は横になっていた。
「ここは⋯どこなんだろう」
そう言いながら体を起こした。
体は重くもなく、軽くもなく、まるで自分の体じゃないような感覚がした。
するとふとあるこのとに気がついた。
自分がここに来るまで一体何をやっていてどんな人物だったのか全く覚えていなかったのだ。
でもとくに焦る気にもならなかった。
なんだか遠い記憶を辿ったみたいな感覚がするだけで、重要なことには感じられなかった。
とりあえず自分はここで考えることにした。
この殺風景な部屋のような場所で一体何ができるのだろうと。
十分くらいだろうかふとある考えが浮かんだ。
もしかしたら、この場所は自分の思い通りに何かを作れるのではないか?
そう思い自分はすぐに実行に移すことにした。
作るとは言っても木を削って作ったり、粘土をこねて作ったりする事じゃない
例えるなら、イメージしたものが目の前にポンッと現れる事を言っているのだはたしてそれを作ると言うのかは謎だが⋯
とりあえず自分は犬を作ってみることにした。
頭の中ではっきりと細かく犬のイメージを思い浮かべた。
するとどうだろう自分の目の前でだんだんと犬ができてくるじゃないか。
数分もしないうちに自分の思い描いた犬ができた。
犬はこっちを見ながら尻尾を振っている。
「生きてるみたいだ⋯」
そう言うと犬はワンっと返事をするかのように吠えた。
試しに触ってみると温かくふわっとしていた。
どうやら想像して作った生き物は生きた状態でできるらしい。
次に家を作ってみることにした。
また頭の中ではっきりと細かく自分の知っている家を思い浮かべた。
するとだんだんと目の前に建物ができてきた。
十数分もすると立派な家が建てられた。
これで自分は確信した。
この場所では自分の思い通りのものが作れるんだと。
そして自分は一つの世界を作ることを決めた。
初めに地面を作り、木を作り、山と川を作った。
次に村、畑、家畜小屋も作った。
上を見上げると真っ白だったので青い空も作った。
最後にこの世界の人類を作った。
あれから数ヶ月経った。
最初見たあの殺風景な光景は消え色とりどりの世界になった。
人類は畑を耕していろいろな作物を作るようになり、動物は自然の中を駆け巡るようになった。
空を見上げると太陽がさんさんと輝いていた。
夜になると丸い大きな月が顔を出す。
全部自分の思い描いた通りの世界になった
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