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「はい」
「おはようございます」
「おはようございます」
女神はニコリと微笑んでくる。
危害を加えてくる気は無さそうなので、ちょっとお話しを伺ってみようと思います。
「聞きたいことが3つあります」
「ええ、どうぞ。答えられる範囲で答えましょう」
「ここはどこですか」
「ここは死後の世界です」
「予想通りですね。では、わたしは死んだんですか」
「ええ、貴方は倒壊したビルの下敷きになって死にました」
「なるほど、気分を害しました。率直に聞いて、あなたは女神ですか?」
「ケースバイケースですね。一概には言えません」
あの女神、講義中の私の口癖を真似してきましたね。
非常に気分を害しました。
「そうですか。色々仮説はあるんですが、私はこの後どうなるんですか?」
「ふむ、話が早いですね?貴方はこの後転生し、新たな世界での生を受けてもらいます」
ここで私の食指が動きました。
「なるほど。良いケースバイケースですね」
一般的に、異世界転生をした場合、元の暮らしよりも楽な人生を送ることができると聞きます。
一概には言えませんが。
まあ、暮らしが劇的に変化するのは頂けませんが、今後の人生の幸福への投資として、甘んじて受け入れましょう。
「ところで、どうして私を転生者に選んだんでしょうか?」
「それは……実は、貴方を間違えて殺してしまったからです…」
「それは悪いケースバイケースですね」
これはさすがの私でも怒りますね。
「でも、一概には言えません……ですよね?」
自称女神様は自分の魅力を理解しており、最大限にそれを利用しようと、笑顔でこの場を流そうとしている。
しかし、女性嫌いな私にとって、それは逆効果です。
神経の逆撫で、お上手ですね。
私は顔を鬼のようにして自称女神様をじっと見つめることにしました。
「ま、誠に申し訳ありません!私が失敗をしたばかりに……」
許しません。
私としては見逃してあげてもいいんですけど、こういう所は厳しく、ドライに行かないと舐められるので。
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