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プロローグ
見慣れた研究所が荒れ果てている。システムは全てサーバーダウン、全部御陀仏だ。
ーーこんな筈じゃなかった、と俺は腕を押さえた。腕の感触がない。ああ、それもそうか。
俺の利き腕はこの惨事が起きた瞬間に吹き飛んでったもんな。
理論は完璧だった。弟には反対されていたが、それだけの自信があったんだよな。チクショウ、彼奴の言葉を受け入れときゃ良かったのか。
血を流し過ぎてクラクラする脳内を過ぎるのは最早自問自答と後悔の念だけだ。俺の隣には冷たくなって動かなくなった、たった1人の弟。
俺はどうなったっていい。
けど、弟だけは。
何としても、助ける。
何があっても。必ず、俺が。
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