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その後、騒ぎを聞き駆けつけてきたお母様達をどう誤魔化すか迷った。とりあえず、
『このぬいぐるみから邪悪な気が……悪魔が棲み着いていて……ッ』
というアイタタタな設定をぶち込んでどうにか納得させた。納得してくれた、と信じたい。
若干我が子を見る目に心配の色が滲んでいたのは良しとしよう。
あれは確か私が受験勉強そっちのけで乙女ゲームにどハマりし、夜な夜な『エドウィンたんマジ萌えええ!!』と叫んでいたのを見たお母さんの目に酷似していたな……。
今は愛でる対象ではなく泣かせる対象なのがなんとも残念だ。
まあ、生きるためだ許せ。
それにしても、ぬいぐるみを破ったのは少しやり過ぎだったように思う。
今更何言ってんだって感じだけど、お母様から貰った大事なものを壊されたら誰だって悲しい。
……そ、そそそれに?それが一生の恨みとなって断罪イベントの前にうっかり殺されるのも嫌だし?? ぜぜぜ全然ビビってるわけじゃないけどね?? ただ壊れたままは可哀想だな……って。
だから、私はその後お母様に裁縫を教わって一人でチクチクぬいぐるみを縫い直した。
前世でも裁縫が得意だったわけじゃないのでかなり不恰好になってしまったけど……。そこはご愛嬌ということで。
虐めなくなって3日目になると体調が悪くなることに気づいたので、2日目辺りでエドウィン公爵邸に赴き、ぬいぐるみを渡した。
すると意外にも笑顔でありがとうと言ってくれたので、どうやらまだ恨みは買ってないらしい。
しかしこのまま何もせずに帰るというのはただの自殺行為なので、「やっぱあげなーい!」というなんとも子どもっぽい虐めを試した。
追いかけっこで屋敷中を駆け回った後、疲れ切ったエドウィンが泣き出したため安心してぬいぐるみを返す。
勿論土下座プラス「悪魔が消えたか試したの」というアイタタタな設定も加えといた。
このまま虐めながらも将来断罪されるような恨みを買わずに過ごしたい。
全てはバッドエンド回避のため!!
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