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すみれの全身を値踏みするように上から下まで
舐めるように見た後、吐き捨てるように言った。
「俺としても不本意ではあるが、緊急事態なので仕方ないんだ。…あー全く…どうして俺がきみなんかと……あー……嫌になる」
毒舌を吐いたあと、雷馬は険しい眼差しですみれを見た。
「きみの仕事は、この俺とデートをすることだ」
「へ?マジデイッテマス?」
驚きのあまり、すみれの言葉は片言になっていた。
「俺だってな、好きでおまえみたいな冴えない女とデートもしたくねーし、普段ならキスもしねえ。そもそも俺の全然タイプじゃないからな」
さっき鼻キスまでしてきた雷馬とは、まるで別人のように、うって変わった冷たい雑な言い方だった。
その豹変ぶりに、すみれは、かなりびっくりしていた。
ーーーさっきまで、かわいいとか言ってたのに。まあ、本気になんかしてないけどしてなかったけど、やっぱり気のせいだった?何?妄想だった?
ーーー嘘…なに?この豹変振り。怖いくらい。
「5回だ」
雷馬は片手を広げて見せた。
「5回?」
急な言葉に面食らい、すみれは雷馬の言葉をリピートしていた。
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