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雷馬が、また聞いてきた。
「狼男は嫌い?」
「狼男の話なんて昔から、ゴロゴロありますから、その…あまり、かわり映えし無いと言うか」
「そお?俺は好きだけどなウルフマン」
雷馬は長い足を組みなおして、何故かふっと笑った。
その微笑みに魅了されて、赤くなりすみれはしばらくポケッとしていた。
少しして映画の中の女性の断末魔の悲鳴を聞き、びっくりして我を取り戻したすみれ。
頭を軽く振ってすみれは、仕切り直しの咳払いをした。
「あの…私は本当に社長専属秘書になるのでしょうか?」
「そうだよ。だから、呼んだんじゃないか」
「では、ここに呼ばれた私の本日の仕事は、なんでしょうか?」
「おいおい、真面目かよ。
きみ……それ、マジで言ってる?」
雷馬は嫌そうに言って眉間に皺をよせた。
すみれは、こくりと頷いた。専属秘書をしてくれと言われてココにいるはずだ。
「この俺を目の前にして?」
驚いたように目を見開く雷馬。
これまた、当たり前だというように、うんうんと頷くすみれ。
そんなすみれを見て雷馬はありえないとでもいいたげに首を横にぶんぶん振った。
「ずいぶんと変り者だな?すみれは」
「あの…気になってたんですが、どうして私の事をずっと呼び捨てなんでしょうか?それとも社長は秘書のことは代々呼び捨てになさるとか?それならそれで……仕方ないというか」
すみれの言葉を聞いて、呆れたように雷馬は肩をすくめた。
「男女の仲で、普通そういうの聞かなくない?
それともアレ?なに?
俺に呼び捨てされて、いやな訳?」
すみれは、またまた即効で頷いた。
「い……まあ、はい。私、仕事で名前を呼び捨てされると変な感じはします。社長とはまだ親しくもありませんし」
ーーー言いたいことは、言わないとダメだ。例えそれが、有名人で、とてつもないイケメンだとしても。
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