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「なにするんですか!いくら社長といえどもキスなんか!許されませんよっ」
「今のはマーキングの一種だよ。いつも俺の秘書になった女性にはしている行為だ。特に深い意味はない」
「はっ、いつもしている?
セクハラ!あの、私はそういうのは無理なんでっ、は、離れてくださいっ!!」
なんとか雷馬に離れてほしくて、真っ赤になりながら両手で雷馬の胸を押し続ける。
押しながら雷馬を見たすみれは、また。この世のものではないくらいに光る黒目がちな瞳に知らず知らずのうちに引き込まれてしまっていた。
ーーーなんなの!この人……この瞳は、何?
目的はなんなの?!
ーーーなんにしてもキスって!鼻でもありえない!ほとんど、話したこともなかったのに。いきなり、鼻キス?!
ーーーこんな人は、いまだかつて見たことがない!!
すみれは、心の中で悲鳴をあげた。
ため息をついた社長は、ものうげな表情ですみれを見つめる。
「すみれ 、どうやら生真面目なきみは仕事内容が気になって仕方がないようだから、そろそろ教えようか」
すみれは座り直した雷馬を見た。
「きみは才女で汚れてない女だから。
見た目は……まあ ぼちぼちだが、そこは目をつぶってやる」
ーーー汚れてない?それってどういう意味で?それになぜ社長にわかるのそんなこと。
雷馬は、勝手なことを話してから、更に勝手なことを言い出したのだ。
「すみれ、
今から本当の仕事の話をしようか」
雷馬は、すみれの手を握ると手の甲を持ち上げて、すみれの顔を見つめながらそっと手の甲へ王子様みたいにうやうやしくキスをした。
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