私がイケメン社長の専属秘書?!

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私がイケメン社長の専属秘書?!

「あのぅ、それで? 私は、本当に異動ですか?」 とんでもなく広いお屋敷…外国の洋館風の建物。美術館か博物館みたいな雰囲気に圧倒される暇もなく建物に入ってすぐに、シアタールームになる部屋に連れてこられていた。 部屋の真ん中に置いてある高級そうな長い革張りのソファ。 それに座らせられているすみれ。 ペットフードを取り扱うイヌカイフード株式会社の代表取締役社長 犬飼雷馬(イヌカイ ライマ)と肩を並べて座るだけでも恐縮ものだ。 それなのに仕事でもなく、ただ巨大スクリーンに向かって並び、もう長い事、狼男のDVDを見せられている状況は、なんとも不可解だった。 ーーー私、一体ここでなにを? すみれは、隣に座る雷馬を見た。 まるで西洋人の貴族のような雰囲気だ。 彫りの深い顔立ちをしている雷馬。 長い足を優雅に組み替えて高価そうなカップに入った紅茶を静かに飲む姿は、さながら絵画から抜け出した天使だ。 その絵画にタイトルをつけるとすれば『静かなる夢』とかそんな風になるだろう。 すみれがイヌカイフードに入社して営業部に配属されてから3年。社長の雷馬とは直接話したことはなかった。 それなのに突然希望もしてない秘書課に異動を命じられた。しかも、社長専属秘書になるよう社長直々に任命されたのだ。 ーーーなんで私は突然人事異動するはめに?営業気に入ってたのに。 首を傾げてすみれは、再び雷馬を見た。あきらかに人間離れした美しさとオーラを放つ雷馬は周りの一般人とは、格が違う特別な雰囲気をまとっていた。 ウェーブがかかった薄茶色の柔らかそうな髪、ハーフみたいに彫りの深い顔立ち、八頭身のモデル体型。 ある意味、この世の人間ではないように綺麗な人を見て、入社式に参加した社員の誰もが、雷馬に見とれずにはいられなかったものだ。 イヌカイフードに入社したすみれも、雷馬の存在は入社前から当然知っていた。 類まれなイケメンやり手社長として雑誌やテレビにもよく出演していたから。 ーーー世の中には、随分綺麗な人がいるものね〜。 感心して、テレビに出ている雷馬を見たものだ。 だが、お互いに住む世界が全く違うという感じだったし、入社したとはいえ、1社員の分際で雷馬とは今日まで1度も話した事はおろか、挨拶さえかわしたことも無かったのだ。 それなのに……
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