再会・緑煙の町

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「素材は綿ですよね。どうやって作るかご存知?織物のはずなのに、とても密がありますから、特殊な技法なのでしょうか?」 「えーと、織物でしょうねえ。作り方? 青いタテ糸と白いヨコ糸を合わせてだと思いますけど、密なのは機械で織ってるからじゃないかなあ」 「機械ってどういうものですか? それが無ければ織れないの? 私には織れないのかしら。それにこの色…何かの顔料な気が致しますけど、どのようなものかご存知?」 「機械は織物を自動で織ってくれる自動織機っていうのがありまして、それだと手で織るより数百倍早いです」 「数百倍…太刀打ちできませんわね……」 「そうですね。色は青色の顔料ですね。昔は天然の藍を使ってたのかな。なんでも藍には虫除け効果があるからとか…。今は化学的に合成されたものを使ってると思います」 知ってる知識総動員だ。ほとんどテレビで観た受け売りだけど。 藍の虫除け効果実験の番組観といて良かった。結果、あまり効果なしだったけど。 ああインターネットが無いのが焦れったい。スマホはあれど繋がらないしなあ。 スマホはね肩掛けバックに入ってた。でもご臨終してた。起動さえしないよ。 「ハツネちゃん、私、お買い物してくるわねん」 「あ。すみませんアザレアさん、放ったらかしにしちゃって」 「いいのいいの。気にしないで店長さんとお話してなさいナ。私は食料買い込んでくるわねん」 バチンとウインクかましてアザレアさんは買い物しようと町まで出かけてしまったが財布を渡しそびれた。お金大丈夫かなあ。気にはなったがアザレアさんを見送った。持ってなかったら私のとこに取りに来るでしょ。
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