壁ドン・顎クイ

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壁ドン・顎クイ

さあて、町の中心にでも行ってみるかね。 アザレアさん、帰ってこないってことはお金持ってたってことでいいんだよね。買い物楽しんでるのかなあ。 アザレアさんだってディケイド様のことで落ち込んでるはずなのだ。なのに私の引き篭りに付き合ってくれて、ご飯つくってくれて、私の面倒を甲斐甲斐しくみてくれた。 まるで嫁のようにな! 悪いことした。せめて今回の買い物で楽しくストレス発散しててくれたらいい。 お化粧品が足りないとぼやいてたのを私は知っているのだ。 実家から送って今の家に届いた荷物の中には基礎化粧品くらいしか入ってなかった。あと漫画。すいませんナチュラルメイク派なもので。普段はスッピンとも言う。就活の時くらいだよ、ちゃんとメイクしたの。 この世界のメイクはどうなってんだろ。 今度ミザリーさんに聞いてみよう。 そんなこと考えながら歩いている時だった。 目端にローブ姿でフードを目深に被った怪しげな人物が映る。 誰だ私と同じ格好してるやつは。 その人物は私を見つけると親しげにこちらへと寄って来ようとした。 待て。知らんよ。アンタ何者だ。咄嗟に「"バリヤー"」 さすがに町中で攻撃魔法は駄目だろうと、防御に徹した私えらい。 「ハツネ殿」 名前を呼ばれてドキッとする。 私の名前を知ってる人は少ない。 少ないどころか見知った人物さえ限られているのだから、こういう風に私を呼ぶやつはだいたい一人しかいない。 「…ルークスさん」 何しにきたんだお前とは思わない。 なんでここにいるんだお前。
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