壁ドン・顎クイ

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私を見つける手段なんてないはずでしょう。しかもそんな怪しげな格好で何してんだね皇族のくせに。 「今一人か?」 「そうですが何か」 と言いかけたところで抱きしめられたんですが何なんだアンタはーー! 私バリヤーしてますよ。咄嗟だったから本能的にやったことだよ。 あ、だから? だから防護魔法は機能してないの? まさかの魔法失敗?! 「ちょ、どいて」 「無事で良かったハツネ殿…!」 更にぎゅっぎゅしてくる…こんなこと前にもあったよー。 また二の舞になるのはゴメンだ。 私は精一杯ルークスさんの体を押し返そうとする。けど動かない。 金的かましてやろうとする。だが動かん。 非力すぎるだろ私…。 「無事って…私そんな危機な状況に陥った覚えがないんですが」 「ああ、だが聖霊様が狙われている。君にも何がしかの接触があるはずだ」 「え。アザレアさんが?!」 聞き捨てならん。私はルークスさんの腕を振りほどいて駆け出したいのに…放してくれないよこの金髪皇族! 「放してください!」 「駄目だ。聖霊様のところへ行くつもりだろう」 「当たり前ですよ。アザレアさんに何かあったらどうすんですか」 「私は君に何かあったほうが心配だ。折角、無事な姿を確認できたんだ。このまま安全なところまで来てもらう」 「安全なとこなんてないですよ。狙われてるならどこにいても同じでしょう」 はい論破。だから放してーーーと再び力を入れてみるが、やっぱりびくともしない。なんなんだよもう。 「君の言う通りだ。どこに隠れても、この世界中で安全なところなど無いだろう。聖霊様と一緒にいるだけで、君は目立つからな」 「でしょう? だったら今アザレアさんのとこへ行くのが最も有効な手段です。 一緒にいれば逃げやすいし」 空飛んでと言ったら、ルークスさんの方からなにやら不穏な空気が漂い始めた。 フード被ってるから表情が分からないのでなんともいえないのだが…まさか怒った? 交渉中、カマかけても怒らなかったのに…。 「駄目だ」 「なんでよ」 「私が嫌だからだ」 「はあ?!」 そんな我儘言ってる場合じゃないだろうが。てゆか、なんで今怒ってるのかね。
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