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私は動揺して後ろへ一歩下がった。だが背後は壁である。
背中に壁のひやりとした感触がしたと思ったら、ルークスさんのハンサム顔が眼前に迫っていた。
「見ないでください」
「逃がさない」
ルークスさんの迫る視線から逃れようと身を捻ったけど、腕が通せんぼする。
右も、左も、腕の突っ張り棒で逃れられない。
あ、あれ? この状況知ってる。
少女漫画とかでよくあるやつだ。あれだ。壁ドンだ。
「え、いや、もうお話は終わりましたでしょう」
壁に背中を付けたまま、私はルークスさんをおずおずと上目遣いで見た。ひい。めっさ見られてます。
「駄目だ。君に付けた【目】が視えなくなって、どれだけ心配したと思う。私は気が狂いそうになった」
そう言って顎を掴まれ上に向けさせられる。
壁ドンの次は顎クイですか。私どんだけ王道極めればいいんだろう。視線が合う。ルークスさんの、澄んだ碧眼が揺らめいていて、その美しさに囚われそうになる。
実際に囚われたのは唇だ。口を唇で塞がれた。キス二回目。
いつの間にか腰をとられ、頭の後ろから指を髪の中に差し込まれている。ルークスさんの指と指の間に私の髪が絡む。指先で髪まで弄りながら口の中まで侵してくるとはなにごとだ。どういうテクだ。こういうこと初めてな私は翻弄されっ放しである。
「二度目のキスはどう?」
きくな。やっと唇を解放してくれたと思ったらこれだ。
しかしルークスさんの唇は次の獲物を狙っているようで、壁ドン体勢のまま、私の首筋へと顔面を寄せた。
「ハツネ殿…いい匂いだ…」
「耳…やだ…」
「ハツネ殿が可愛いすぎる」
匂い嗅ぐだけじゃない。
耳朶まで舐めてきおったよくぇrちゅいおp…!
更に首筋を舌が這って舐め回される。と同時にルークスさんの鼻息がっ。
鼻息が耳にかかるでしょう。とっても興奮してらっしゃるのが丸わかりだ。
「ルークスさん…そん、なに…」
「ああ……君がいい…」
うわ言のように、いいだとか可愛いだとか繰り返しながら首筋舐めてくるこの変態なんとかして。でも認識阻害魔法をかけてるから誰も気づかないし、助けがくるわけもない。だから自分でなんとかしないと…。
このままだとこの金髪変態紳士に肌を舐め回されて溶かされる。
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