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吐く息も凍り付きそうな、冬のカナダ・イエローナイフ。
「……さむ。」
私は、二重に重ねた手袋の上に、息を吹きかける。
深夜のこの場所は、日本の冬より寒く感じる。
そんな場所に集まるのは、それぞれカメラを持ち寄った人々。
(ほんと……もの好きというか、バカというか……。)
身を寄せ合うように集まる人々を見ながら、そんなことを思う私。
そんな『物好き』の中に自分もいることが笑えて来る。
「……あ!!見えたよ!!」
そんな人込みの中で、少年が北の空を指さし、声を上げる。
周囲のカメラが一斉に少年の指さした方向に向けられる。
「……わぁ。」
空には美しい、オーロラ。
そう、私はこのオーロラを撮影に来たのだ。
独身最後の冬休みに。
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