Aurora

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「ごめん。言葉が強すぎたよ。だから、もう泣かないで……。」 彼から借りたハンカチで、目を押さえる私と、その様子を申し訳なさそうに見る彼。 彼の言葉が心に響きすぎて、私はつい泣いてしまった。 別に、酷い言葉じゃなかった。 不快感もなかった。 その言葉が、父と重なったのが嬉しくもあり、寂しくもあったのだ。 「本当に、ごめん。」 「ううん……そうじゃないの。父の言葉を思い出したから……。父も、あなたと同じことを言っていたなぁ……って。」 話し始めたことで、ようやく涙が止まった。 「君のお父さんも、写真家?」 「うん……。もう、死んじゃったけど。」 「……重ね重ね、ごめん。」 ぎこちない、ふたりの時間。 そんな時間をどうにかしたいと、私は1枚の写真を出した。 私が初めて撮った写真。 それは、母がカーネーションの花束を抱いて笑っている写真。 「これが、私のいちばんの写真。最も、撮ったの中学2年生の時だから、ピントもあってないし、少し逆光だけど……。」 彼は、そんな私の写真を見て、目を輝かせた。 「……素晴らしい。こういう写真を、僕は見たかったんだ。この写真には、なんて言ったらいいのかな……『生』があふれている。」 この彼の言葉は、私の目に再び涙を溢れさせるのであった。
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