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カナダへ行くためのお金を貯め、ようやく準備が整った時のこと。
「……僕と、結婚して欲しい。」
彼から突然のプロポーズ。
驚きはしたが、もう私の心も決まっていた。
「……幸せに、してください。」
私は慎んで、そのプロポーズを受けた。
そして、それと同時に彼にひとつだけお願いをした。
「結婚の前に、私……独りでオーロラを撮りに行きたい。あなたに、私のオーロラの写真を撮ってきたいの。父が、母にそうしたように……。」
私は、父のオーロラの写真を彼に見せた。
すると、彼は息を呑んだ。
「もしかして、君のお父さんって、戦場カメラマンだった……?」
彼はそう言うと、同じ写真を手帳から出した。
「それ……。」
「昔、雑誌のインタビューで『彼』が見せた、唯一の戦場ではない風景写真。僕は、この写真に心を奪われて、写真を始めたんだ……。」
それは、まさに『運命』だった。
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