Aurora

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「わ、私は……。」 自慢の写真は持っていた。 しかし、同僚の彼の前では出すことが躊躇われた。 こんなところにも、自分よりも写真がうまい人がいた。 自分は、どれほど自信家だったのだろう。 そう思うと……出せなかった。 「綺麗な写真だね。」 私は、自分の写真から気をそらそうと、彼の写真のことを話題にする。 「本当はね、オーロラを撮りたかったんだ。でも、滞在期間中に結局見られなくてね、仕方なく夜空だけ撮って帰ってきたよ。」 苦笑いを浮かべながら、自分の写真をしまう青年。 「君は……写真の良さって、映りとか色彩とかが関係してると思う?」 不意に、真剣な表情で彼は言う。 「だとしたら……写真の話をするには早すぎると思う。写真って、撮る人の想いがそのまま映るから、見る人は面白いんだよ。」 この言葉に、私はまるで鈍器で殴られたような衝撃を受けた。 その言葉は、父が言っていた言葉と同じだったから。
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